2025年7月と2022年9月に群馬県沼田市に行ってきました。
河岸段丘で有名なところですが、その高台にある旧市街の上之町が再開発され、市ゆかりの建物４棟を移築して大正ロマンエリアとして整備されています。

まずは、旧土岐家住宅洋館です。（国登録有形文化財）
沼田藩主を務めた土岐家の東京渋谷にあった邸宅の洋館部が移築されています。

ドイツ版アールヌーヴォーであるユーゲント・シュティール様式の建物
天然スレート葺き屋根に設けられた牛の目窓と呼ばれるドーマーが印象的ですね。

このエリアではほとんどの建物が無料で公開されているのですが、こちらの施設は有料となっています。（といっても110円ですから非常に良心的ですね。）

玄関や窓の上部にはレリーフが施され

アーチ窓やステンドグラスなどもいい感じです。

玄関内部、渋沢栄一や犬養毅などを竹林の七賢に模したが絵画が飾られており

１階玄関横の洋室

階段、廊下、扉などは洋風ですが、２階は和室が中心となっていました。

【旧土岐家住宅洋館】
1924年（大正13年）建築、1990年（平成2年）沼田公園に、2020年（令和2年）現在地に移築

次に旧沼田貯蓄銀行です。（県重要文化財）

利根銀行、職業安定所、土地改良区事務所などとして利用されていました。

玄関ポーチ上部に鏝絵などが見られる擬洋風建築

一部の壁は土蔵造り、内部には和室や床の間がありますが、シーリングメダリオンや店長室天井の金唐皮紙、階段の親柱などは洋風となっています。

【旧沼田貯蓄銀行】
1908年（明治41年）頃建築、2016年（平成28年）移築

そして旧日本基督教団沼田教会紀念会堂（国登録有形文化財）

アーチ窓など装飾のある下見板張りの洋館で

壁に十字架などのレリーフがある、簡素で小さな建物です。

【旧日本基督教団沼田教会紀念会堂】
1914年（大正3年）建築、1988年（昭和63年）沼田公園に、2020年（令和2年）現在地に移築
設計・施工は神奈川県のフェリス女学院校舎などを手がけた小菅幸之助

最後は旧久米家住宅洋館です。

我が国の最初期の例と考えられる鉄筋コンクリート造、セセッション様式の建物

東京渋谷区にあった建物は解体の危機にありましたが、建築主である久米民之助が生まれ育った沼田市に移築されることになりました。

小屋組みや窓、石材などの建築当初からの部材は可能な限り再利用されていますが

戦災で内部が消失したため、多くの部分は写真などに基づき再現されています。

床と天井に窓を設け構造を見せるほか、当時の建築部材や金唐皮紙が展示されていました。

2022年9月に訪問した時はまだ工事中でしたが、解体されなかったのでホッとしています。
【旧久米家住宅洋館】
1912年（大正元年）頃建築、2023年（令和5年）移築

１　訪 問 年 月　　　2025年7月、2022年9月
２　お気に入り度　　★★★★★
＜参考＞
・大正ロマンエリア　【生活情報ページJOMOtto】
・大正ロマンのまちづくり　おっ!!まっち～126号（群馬県HP）

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