日本の伝統建築の装飾の一つに、左官が漆喰で鏝（こて）を使って文字や絵のレリーフを造る鏝絵という技法があります。

伊豆松崎や安心院などのものが有名ですが、新潟県長岡市摂田屋にある旧機那サフラン酒造本舗の土蔵は横綱級ともいわれています。

摂田屋は、「吉乃川」で知られる日本酒や味噌、醤油などの醸造の盛んなところ
隣町で生まれた吉澤仁太郎がサフラン酒の製造販売で財を成し、広大な屋敷を造営したそうです。
サフラン酒はサフランや丁子などを原料とする薬用酒で、明治から昭和にかけて養命酒と人気を二分していたとのこと。

酒蔵の敷地中には１０の伝統建築がありすべて国の登録有形文化財となっていますが、なかでも鏝絵で装飾された土蔵が見事です。

なまこ壁の土蔵の軒回り、開口部の楣（まぐさ）や塗戸に極彩色の鏝絵が施されています。

左官は地元の河上伊吉とのこと。

妻部には軒回りや楣のほか、塗戸は２階が鳳凰

１階は麒麟でしょうか？

平部の塗戸には十二支が描かれています。

判別しにくいところがありますが、左が寅？右が子

左が午、右が犬？（猫に見えますが・・・）

左が未で右が丑

主屋側には

左が酉、右が卯のようです。

また、主屋の反対側にある蔵にも

塗戸に鏝絵が施されていました。

それにしても見事、建築史家の藤森照信氏が絶賛するのもわかりますね。

１　訪 問 年 月　　　2023年6月
２　お気に入り度　　★★★★★
３　参　考
　・文化遺産オンライン　機那サフラン酒造本舗土蔵
　・摂田屋　旧機那サフラン酒造本舗　地域の観光案内（歴史など解説あり）

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